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 ◆セミナー 対談:『全ては読者の為に!』 書店直取引~物流とシステムが担う役割~      
    パネラー
      NET21/恭文堂書店         代表取締役 田中淳一朗氏
      ディスカヴァー・トゥエンティワン   取締役社長 干場弓子氏
      京葉流通倉庫             代表取締役 箱守和之氏
      光和コンピューター          専務取締役 寺川光男
 
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対談内容
 光和コンピューターは7月6日、東京国際ブックフェア(TIBF)が開催された東京・江東区の東京ビックサイトで、セミナー「『全ては読者の為に!』書店直取引~物流とシステムが担う役割~」開催し、NET21恭文堂・田中淳一郎社長、ディスカヴァー・トゥエンティワン・干場弓子社長、京葉流通倉庫・箱守和之社長、光和コンピューター・寺川光男専務が、出版社と書店との直接取引について話し合った。
 
■効率を求めるのであれば直取引増やすこと
田中  書店と直取引する出版社は、永岡書店など以前からあったが、これまであまり広がらなかった理由は、輸送コスト、出版社の営業力不足、集金業務などの煩雑さ、また、配本に慣らされていて注文できない書店があるという問題もある。そういう意味で、直取引は書店業務の根源を見直すためにも大きな取り組みだといえる。
 直取引への期待は、
 ①ITによって書店の直取引の業務を簡便化すること。ウェブの発注など補完できれば、直取引は伸びると思う。
 ②通常は取引が条件を決めていて、例えば新規出版社が安い卸値で取次に卸しても、書店には他と同じ卸値で入ってくるので、出版社は卸値の安さを書店にアピールできない。直取引なら書店に仕入れ値が安いことをアピールできる。小売店に直接アピールできるのは出版社にとってもありがたい。
 ③出版社は送品のすべてがわかるので、市場在庫を把握することができる。それができるようになった時、出版社がどんなマーケティングをするのかに期待している。
 将来的に直取引が広がる時に問題になるのは、出版社の営業力だと思う。自社の商品をどれだけアピールできるかが大きな問題になる。
 いまは取次が返品率を下げることを求めているが、直取引ならば、適切な配本が適切な納期に来るので余分に注文することはなく、それが本来の効率的な販売だと思う。
 また、直取引が増えるのであれば、共同配送、共同集金など、ビジネスを支える仕組みを作ってほしい。
■取引のメリットはマーケティングできること
干場  1990年に書店向けの本の出版を始め、以来刊行点数は1200点、現在は年間80から00点を出している。分野は文芸以外の一般書。
 我々はゼロからだったので、直取引で始めた。いまは4500書店と取引しているが、上位2500書店で売り上げの7~8割りになる。
 従業員は社員45人とアルバイトが20人ぐらい。社員のうち半分から4割程度に当たる15~20人が営業で、書店の訪問と電話営業を担当している。お店の売上や状況に合わせて、約半数の書店を一定の頻度で訪問している。
 新刊は書店と相談して配本している。配本数はこちらから提案するが、電話か面談で数を決める。一方的に送りつけることはしていない。
 直取引の問題点は、主に①輸送コスト、②営業の人件費、③債権回収、の3点。
 流通は京葉流通にお願いしているが、物流の経費は、取次のマージンよりは大きくなる。その中でやれているのは、当社の重版率が高いためだと思う。
■出版社に足りないのは営業マインド
干場  直取引のメリットは、マーケティングができること。何をどこに何冊入れるかを書店と一緒に決めることができる。そして何がどこから何冊返ってくるかもわかっている。
 書店によって客層も違うので、それに合わせて配本したり、仕掛けをするのは、ビジネスの基本だと思う。また面白さでもある。
 直取引の最大のポイントは営業力。出版社には編集重視の風潮があるが、他の業界では売ることが基本。最も優秀な人材が営業に集まっている。
 いまの出版社に足りないのは営業マインドだと思う。編集者のエゴや自転車操業のために本を作るのではなく、社会に貢献できるものを作り、責任を持って届ける、売ることに責任を持つことが業界に必要だと思う。
■出版物流は改善できる部分があって面白い
箱守  当社はディスカヴァー・トゥエンティーワンをはじめとして出版社46社から流通を受託しているが、出版物の扱いは売り上げ全体の24%。出版流通は20年ほど前に始め、2005年に専門倉庫を作った。出版流通は改善できる部分があって面白い。
 出版流通の最終地点は消費者であり、そこに向けて書店、取次、出版社が鎖のようにつながることが大切。このサプライチェーンを作り、我々が何をできるのか考えている。
 2001年に取引出版社が受注サイトを作るというので、当社が作って共同利用することを提案した。この「K-Web」は書店がログインすると在庫を検索して注文したり、CSV/PDFデータをダウンロードできる。2002年にリリースして、現在17社が利用している。こうしたことに限らず、出版流通で役に立ちたい。
■出版社と書店とのEDIを構築
寺川  ディスカヴァー・トゥエンティワンとは10年のお付き合いになるが、いま新しい販売管理システムを構築している。そのシステムの肝は、書店がPOSデータ、仕入・返品・棚卸のデータを開示することを提案している。
 秋にはシステムが稼動するが、書店側はNet21、未来屋書店、紀伊國屋書店などと話をしている。
 通常の出版社と直取引出版社の違いはあるか。
■本を間にコミュニケーションが取れる
田中  納期について、取次経由の出版社の場合、いつ取り次に搬入するという答えだが、直取引の場合は何日に店着とはっきりわかるので、情報としては大きな違いがある。また、注文数がそのまま入るので安心感をもって取引できる。
寺川  満数出荷しているのか。
干場  実は書店が満数来るとうれしいということは最近知った。当社では、もし5冊の注文があれば、10冊になるように努力している。減らされないからうれしいというのは、新鮮な驚きだった。
寺川  直取引が増えた場合、返品の仕分けなど手数がかかるが。
田中  通常、直取引では納品のコストは出版社負担、返品のコストは書店負担になっている。できれば、複数の出版社でも1つの倉庫に返品できるとか、直取引の商品だとわかるようになっていれば、書店としては作業ができる。
箱守  いま当社では直取引の出版社3社を扱っているが、田中社長の言う20社ならまとめることで効率化できると思う。
寺川  書店、出版社、倉庫、システム会社がEDI化することは、直取引に限らず、様々な出版社や書店の協力を得てすすめていける仕組みだと思う。
以上


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