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出版ERPシステム「欠本補充システム」 A
鼎談 書店・出版社・システム開発会社3者の取組み
くまざわ書店(新文化 2019/3/7 掲載) a
■鼎談 書店・出版社・システム会社3者の取組み
 
くまざわ書店 「欠本補充システム」導入で増売
 ダイヤモンド社が発売する「地球の歩き方」シリーズが、くまざわ書店で”異常な売上げ”を示している。出版社が推奨する銘柄を、くまざわ書店約220店舗の在庫と照合、定番商品の欠本をなくしたことで成果を上げている。欠本補充システムを導入して1年5カ月余。いまも好調に推移しているという。くまざわ書店の森岡葉子執行役員、ダイヤモンド社営業局の吉田瑞希氏と、システム運用に協力している光和コンピューターの多田元晴取締役に話を聞いた。
(聞き手=丸島基和)
「地球の歩き方」(ダイヤモンド社)で実施
1年5ヶ月余り いまも2桁増で好調!
■売れ筋定番商品の棚崩れがきっかけ
なぜ、「地球の歩き」方シリーズを対象に、欠本補売システムを導入したのですか。
 森岡「もともとは私が各店舗を廻っていた時に、『地球の歩き方』シリーズの棚倒れが目立っていたのがきっかけです。要するに売れ筋の定番商品がなくなっていたのです。さらに、前月にテロがあった国の本を平積みしている店舗や、改訂版が出るとそれを平積みし、売れ筋の『ハワイ』などが棚差しされている店舗もありました。そんな店舗が散見され、問題だなあと思っていましたので、ダイヤモンド社に相談したのです。それは2017年2月のことでした。
 旺文社などは、以前から当社各店舗の在庫をみて、補充発注してくださっています。当社では各店舗のスタッフに欠本チェックをさせる余裕はありませんので、とても助かっています。
 『地球の歩き方』シリーズは、所定の棚に決まった商品を展開していますから、旺文社に比べて作業負担が少ないのではと思い、お願いしていました。
 当社各店舗で売れた商品はPOSの自動発注で取次会社に注文されますが、なぜか欠本商品がでる。それは取次会社に在庫がないとヒットしないからだと思うのですが、『まあ、しょうがないですね」とは言えません。書店としてはとても困ります」
 多田「当社ではそのお手伝いをさせていただきました。その後、『たなづくり』システムと名付け、18年11月に立ち上げました。
 くまざわ書店においては、店頭にある『地球の歩き方』シリーズの在庫情報を、ダイヤモンド社と取引する倉庫会社、京葉流通倉庫にお渡ししています。日々の在庫データをもとに、京葉流通倉庫で発注データに変換する作業をして、くまざわ書店に欠本補充されています」
その効果が顕著だとお伺いしましたが。
 森岡「売上げは異常なほど上がりました。いかに欠本していた銘柄が多かったかが分かり、棚をつくる大切さを痛感しました。
 17年9月から1年間で、2桁アップ。2年目に入っても、それと同じか、それ以上の伸長率を示しています。店舗数が増えたこともありますが、予想をはるかに超えた実績で推移しています」
 吉田「それはシステムがうまく機能しているからだと思いますが、1年5カ月が経ったいまも前年実績を上回っているのは、くまざわ書店の商品管理が徹底されているからだと思います。それが一番大きい。
 一方で、当社の関連会社、ダイヤモンド・ビッグ社で抽出してもらっている売れ筋・ランキングデータの精度も高まってきました」
 森岡「この欠本補充システムは、棚だけでなく、平積みしている銘柄も一定冊数になるように補充できるのです。銘柄を入れ替えて補充することもできます。
 それは当社にとって、画期的なことなのです。多くの場合、品薄になると、売上げも下降線を辿りますが、それがなくなったのです」
■京葉流通倉庫も協力
「地球の歩き方」シリーズはおよそ100銘柄が流通されているそうですが、くまざわ書店はそのうち何銘柄を取り扱っていますか。
 森岡「各店舗の売場規模によって異なります。店舗ごとに棚段数を調べて、それに見合った補充をしています」
返品率は。
 森岡「あっ、それはちゃんと見ていませんでした」
 吉田「当社からくまざわ書店への送品率は高まっていますが、返品率は以前とほぼ同じで推移しています」
売れ筋商品も発掘できそうですね。
 森岡「年間を通じてみると、突出した銘柄はこれといって挙げにくいですね。定番商品を中心にして全体が底上げされています。ダイヤモンド社には、旅好き女子のためのガイド書、『aruco』シリーズもありますが、それは『地球の歩き方』シリーズの伸長率をはるかに上回り、30%前後の伸びを示しています」
 吉田「全国の書店でも『aruco』シリーズをここまで伸ばしている書店はありません。欠本補充システムと徹底されたくまざわ書店の展開力だと思っています。毎月、実売データを見て、凄いと思っているのです」
■光和コンピューター システム運用手がける
  書店のコストはゼロ円
くまざわ書店では、ダイヤモンド社以外で取り組む予定はありますか。
 森本「欠本調査をして補充する取組みは昔から年に数回、いくつかの出版社で実施してきました。それを実施した後は、必ず売上げが上がります。今回のような欠本補充システムについては、文庫を対象にしていくつかの出版社と話し合っているところです。
 ただ、220店舗の在庫をエクセルで管理するのは大変ですから、システムの問題もあります」
 多田「他の出版社とお話しをしていますと、日々欠本補充をするために、倉庫会社が対応できるかどうかという問題に突き当たります。
 当社では直接、倉庫会社に変動データをお渡して取次会社経由で納品するスキームを考えていますが、倉庫会社のなかにはシステム上、うまくいかないケースもあります。取次会社の物流拠点から引き当てて、在庫がない場合のみ倉庫会社から出荷してほしいという出版社もあります。いまはダイヤモンド社と京葉流通倉庫でうまく連携していただき、円滑に運営できています」
 吉田「京楽流通倉庫はなににつけ対応が早いです。書店と倉庫会社の協力体制があって、増売できているといえます。社内では今後、さらに推進していこうと話してもいます」
 森岡「ダイヤモンド社とは、ビジネス書で銘柄を決め、同様に展開する計画もあります」
システムを運営するコストは。
 森岡「ゼロです」
 多田「出版社のコストは毎月定額制でいただいています。このシステムは業界のインフラになることを目的にしていますから、安く設定しています。導入していただける書店、出版社が増えれば、いまの定額はさらに安くなります。業界のハブになることが目標ですので、ご負担にならないように決めました」
くまざわ書店以外に欠本補装システムを利用している書店はありますか。
 多田「書店の方々は、自社在庫データを外部に出すことにアレルギーをもっていらっしゃるようです。そういう意味で、くまざわ書店には感謝しているのです」
 森岡「自社の売行きなど、変動データを当該出版社に見せることには抵抗感はありません。
 すぐに補充してくれるメリットの方が大きいと思います。他の書店がなんで嫌がるのか、私には分かりません」
■「棚の在庫を2冊にしたい」
   書店員は発注作業に手が回らない
いま、課題はありますか。
 森岡「現在、棚の在庫冊数を『1冊』に設定していますが、店舗・銘柄によって『2冊』にできればさらにいいですね。1冊売れたら、納品される間は欠本になりますから」
そもそも欠本がない売場をつくるためにPOS自動発注システムがあったのではないでしょうか。
 森岡「本当にそうですよね。その注文は取次会社の在庫に引当てられますが、無い場合はダメだといいますね。また、一度返品した銘柄は、注文そのものが飛ばないようです。
 少し前はダイヤモンド社でも、欠本調査に来てくれていました。かつて池袋店の店長を務めていた頃は、週に一度のペースで訪店してくれていましたので問題はなかったのですが...」
当時はラウンダーと、いわれていましたね。
 森岡「そうした方々は、集英社サービスなど、いまもいらっしゃいますよ。当社は各店舗で発注できますが、『ウチは本部主導で、自動発注もありますから結構です』と断っちゃう書店が多くなったのです。取次会社との契約もあり、本部で一括管理せざるを得ないという書店も多いと聞きます。いま店頭では、品出しするだけでスタッフが手一杯になってしまう。発注作業まで辿り着かない。ですから、当社では本部にいる人間も店舗に行ってフォローしていました。それでも限界はあります。POS自動発注がままならないなかで、欠本補充システムはありがたいです」
 多田「数年前から発注権限がない書店が増えましたね」
 森岡「そういうの、本当につまんないですよ。自分で好きな本を仕入れて売るのが楽しいのに、もったいない」
 吉田『地球の歩き方』に関しては、売れ筋も売れ方も分かっているシリーズですから、比較的取り組みやすかったと思います。ダイヤモンド社の営業担当者として、欠本補充のこのシステムを1年半稼動させたことで、私自身様々な気付きがありました。
■定番欠品なしの大切さを再認識
 森岡「私も棚の定番商品が切れないことの大切さを改めて知ることができました」
 多田『地球の歩き方』シリーズは、ほとんどのお客様が目的買いです。ハワイに行く旅行者が『グアム』を買うことはないですから」
 森岡「4月後半から10連休のゴールデンウィークが始まりますが、海外への旅行者は昨年の2倍になるとJTBが発表していました。すでに飛行機の予約も取りにくいそうです。そういう意味で、はチャンスだと思っています」
長い時間、ありがとうございました。

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