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「出版ERP」システム  「Publishing ERP」
株式会社 幻冬舎 様 (文化通信bBB 2004/12/27掲載)
■株式会社 幻冬舎 (GENTOSHA INC.)
設立       1993年11月12日
本社所在地   東京都渋谷区千駄ケ谷四丁目9番7号
代表者   代表取締役社長 見城 徹
資本金    335,910 千円
事業の内容  書籍・雑誌の発行及び販売業務
従業員数  62名(平成19年9月30日現在)
 「13歳のハローワーク」「キッパリ」など今年もベストセラーを次々と生み出している幻冬舎は、見城徹社長の卓越した企画力のみクローズアップされることが多いが、優れた企画を的確に市場に供給する販売体制を無視することはできない。
 POSデータから書店の販売力を把握して、それに応じた商品供給を行う同社の営業活動は、「重版配本」など独特の施策を生み出している。創業から11年目を迎え、今年企業出版などを手掛ける新会社・幻冬舎ルネサンスを設立し、来秋には雑誌創刊も予定している同社の営業政策と、それを支える情報システムを取材した。
 
データ分析と営業マンが外から足でとってきた情報が上手く結びついた」と語る花立部長と須江知子係長
 
■法人中心の特約書店を重視
 同社は書店営業担当者5人で全国をカバーしているが、法人を中心とした特約書店を重視している。特約書店は文庫の販売実績に基づく販売上位の150法人と単独店500店の合計4500店舗。ここには「新刊」「重版」の指定配本を実施している。
 「重版」の指定配本はあまり例がないが、タイムリーな商品供給を目指す同社は、重版申請から中5日で搬入するという短納期によって、重版決定後の受注期間がほとんどない。
  3年前から実施しているが、「以前より返品率は低下し、この方法が良かったことはデータからも明らか」と営業局営業第2部・花立融部長は話す。
 特約書店は同社売上の75%を占める。特約書店以外でPOSデータが収集できる書店の販売シェアが5~7%、データが見えない書店が18~20%あるが、75%に集中することが、結果として全体の効率を上げることになると、これまでの経験から判断している。ここに促進することが、営業担当者にとって最も重要な仕事になる。
■年度始めに「販売目標確認書」を交わす
 特約法人とは年度初めに「販売目標確認書」を交わし、営業部員の目標も担当書店が目標を達成することになる。そのため「自分が担当する法人の数字は絶えず確認しています」(花立部長)という。
 目標設定は、同社文庫の推定総販売部数に対するその書店の占有率を算出し、同社が期首に設定する総販売部数目標に占めるその書店の前年占有実績に、その年の出店予定などを加味して具体的に設定する。
 特約書店の販売実績は出版社共同のPOSデータ回収ネットワーク「TTCネット」などから月単位で収集し、一部スリップで回収しているものも加えて翌月の20日過ぎには営業担当者のパソコンで前年比を含めて見られるようになる。
 担当者はまず単行本、文庫、コミックといった大ジャンル別に各法人の売れ行き前年比をチェックし、目立った傾向があれば単店、単品の数字からその原因を探る。
 「成績が悪い場合は売れ筋に特化するよう働きかけ、良い場合は何を売り伸ばしているのか確認し、こちらで把握していない商品なら払い出して全国展開するということもしています」(花立部長)。
 また、書店の販売シェアを細かく管理していることで、担当者はその書店の販売力を考えながら営業できるとともに、ある書店で商品が動き出せば、そこから全体の動きを推定することもできる。
■各店の販売シェアを把握
 04年7月に刊行した「キッパリ」は、初版2万部が95万部に成長したベストセラーだが、これも各店の販売シェアを把握しているため、早めに手を打てた事例といえる。
 広告もパブリシティーも出てこない段階で一部の書店で動き出し、三省堂、有隣堂、東武ブックスに働きかけたところ「これはいける」との反応があった。これらの店舗に思い切って納品した結果、各店のシェアから推計すると全体では10万部を超える動きを示したため、「重版配本」して火が着いた。
 「データの動きと書店の生の声から思い切って仕掛けることができた。データ分析と営業マンが外から足でとってきた情報が上手く結びついた」と花立部長はいう。
 このように営業担当者にとって必須の集計を、実は前期までは手作業で行っており「1人が30法人ほど担当しているので、店舗が多い法人を受け持つと、Excelなどでデータを作るのに何時間も掛かりました」(営業第1部・須江知子係長)。それが今期から販売、書店、製作などを総合的に管理するトータルシステムを稼働させることで軽減された。
■販売管理はほぼシステム化
 同社で3代目となる光和コンピューターのトータルシステムは書店の販売実績を管理する「書店管理」、取次との受発注、請求業務などを行う「販売管理」、さらには「制作・原価管理」、「印税・支払管理」、「定期購読管理」、「Web受注」などを含んだ総合的な出版システムだ。
 このシステムが稼働したことで、「販売管理はほぼ完璧にシステム化できたほか、在庫管理、断裁処理、商品マスタメンテナンス、請求業務なども軽減された」(花立部長)。請求書発行が迅速に行えるようになり、取次からも歓迎されているという。
 「定期購読管理」は来秋予定している新雑誌創刊を見据えたもので、Web受注は特約書店向けに開設を予定している。
 
■発注段階で印刷・製本コストを確認
 制作の原価管理もこのシステムによって、発注段階で印刷・製本コストを確認できるようになり、経費の明確化と短納期の実現に貢献している。
 同社は6社の印刷会社と取引しているが、事前に各社と単価を打ち合わせ、基本情報を入力すれば自動的に原価計算ができるようにした。企画ごとに見積もりをとる必要がないし、また、重版時には初版で決めた計算をそのまま使えるため、事前作業が短縮された。
 出版局第1出版部・櫻井雅裕部長はシステム化の目的を「株式の店頭公開に向けて製造原価を透明にしようという考えと、できるだけ短納期を実現しようという目的があった」と説明する。その結果、現在は「きちんとしたフローチャートができた。編集費は捉えにくいが、それ以外の経費はできるだけ明確にすることができる」(櫻井部長)と評価している。
 また、システム化に合わせて、用紙の発注時点で書誌データを確定し、これを基本情報として社内で共有することを実現したため、営業セクションでもこの段階で書誌情報を確認することができるようになった。
 需要を逃さない短納期を実現し、自社の商品を確実に売る書店との繋がりを強化するために、新システムは力を発揮しているようだ。
 

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