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光和コンピューター社長 寺川光男氏に聞く
「書店POSが必要な理由」 
(新文化 2020/4/2 掲載) a
代表取締役社長 寺川光男
 出版社300社に基幹システムを提供し、1000書店のPOSデータを管理する光和コンピューター。取次・倉庫会社のシステム構築も手がけている。これまで自動発注システム、「たなづくり」などで潜在的な出版市場を生み出してもきた。「マーケットイン型流通」への転換期を迎えているいま、WEB系システムとAI技術が果たす役割を訴える同社の寺川光男社長に現状と将来像を聞いた。
(聞き手=本誌・丸島基和)
■30年間の流れ
―30年前に設立して以来、出版界に業種特化してシステム提案してきた貴社ですが、これまでの流れをどのように受け止めていますか。
 「私は以前、違う業界のシステムエンジニアとして従事してきましたが、委託・再販制度を運用する出版界はとても特異な構造で、非効率的な部分が多すぎると感じていました。
 設立当初は書誌データベースなど、統一的な業界標準のインフラもありませんでした。業界の方々も同じ思いだったようです。
 しかし、2002年4月に日本出版インフラセンター(JPO)ができ、JPROによる近刊・既刊の書誌データベースサイト「BooksPRO」が3月10日に開設。業界のインフラを作り上げたJPOには敬意を表しています。
 JPOが設立した後、インテージ、とうこう・あいの関連会社・フライングライン、版元ドットコムと当社で『JPRO支援会社交流会』を立ち上げて、意見交換を重ねてきた経緯もあり、新たなスタートラインに立ったような気持ちです。
 当社では、JPROを効率的に活用できるソリューション『K―PRO』を開発して、業界全体の再生に努めていきます。それは、出版社の近刊情報を『BooksPRO』に自動登録でき、そこから取次会社、ネット書店、図書館流通センター、各種書誌サイトなど、様々な拠点に配信できるもの。書評やプロモーション情報、各種データ連携ができ当社の出版ERPシステムとの連携も実現します。出版社がいろんな局面で省力化ができる、JPROのサポートツールです。もちろん、それぞれの出版社がBooksPROに直接近刊情報を登録すればよいのですが、それ以外の付加価値があると認識していただけると思います。出版社の導入は予定を含めて23社ですが、今後裾野を広げていきます。」
■データ分析でコスト抑制できるPOS
―BooksPROは近く、日本出版販売やトーハンのバックオフィスシステムと連携して、事前発注できるようになる予定ですが、POS導入書店は全体の約3割程度。多くの書店は環境整備ができていません。
 「書店が費用面からPOS導入が難しいことは十分に承知しています。誤解を恐れずに申し上げますが、これからの書店業は、POSなしでは成立しにくくなると思っています。
 そうしたなか全国書店再生支援財団は、ビジュアルジャパンのPOSと、当社のマルチ決済端末『PAYGATE』を対象にして、書店の利用料を補助する支援を行っています。
 『PAYGATE』は、クレジットカード決済、suicaなどのFelica系決済、QRコードのPAY系決済に対応。もちろん雑貨やカフェでの決済もできます。当社が開発したK―POSミニの、5年間のリース総額は98万円と安価ですので、それとは別に促進していきます。
 さらに、経済産業省でも3600億円の予算化をしていた中小企業生産性革命推進事業も新型コロナウイルスに係わる景気対策として、その一部であるIT導入補助金を前倒しで交付します。いまその企業と対象製品を第一次公募しています。
 補助金は補助率2分の1以内で、上限150万円未満、下限30万円の範囲と定められています。当社では過去に『出版社販売管理システム』『出版社・書店向けWEB ECサイト』『書店向けPOS』が採択されており、経産省ではそれを重んじると公示しています。第一次公募では当社のソリューションが採択されており第二次公募以降も採択される予定です。」
―これまでは文献社の製品も対象になっていました。
「申請する手続きがあまりにも煩雑であることから、2社にとどまっていると思います」
―中小書店がPOS導入するチャンスですね。
 「書店はPOSを導入することで、店頭の在庫、納品、販売、返品データをリアルタイムで把握し、様々な分析を行うことで、自店の長所や短所を知ることができます。売上げが必ず伸びるとは断言できませんが、無駄なコストは抑制できると思います」

―BooksPROは、マーケットイン型流通を具現化する手段になるのでしょうか。
 「いまは、そのマーケットインという言葉が1人歩きしています。正直に申し上げますが、多くの書店が近刊情報を見て、事前に注文できるかは分かりません。本部機能を有している主要書店でも、店頭に置くすべての商品を注文することは困難でしょう。規模を問わず、大半の書店が同じと思われます。
ですから、AI技術を用いた受発注機能が必要になると思います。
 AIの本質はディープラーニング。取次会社において、店舗毎の送品・販売・返品データが蓄積されるほど、精度が高まっていくのです。
 一方、出版社でも指定配本をしているケースは少なくありません。その精度を高めるためにも、早急にAIを導入して成功事例をつくってほしいと思っています」

AI技術用いた発注システム必須
―AIを搭載したエンジンのコストはいくらぐらいですか。
 「まだまだ高いです。書店が導入することは難しい。現実的には大手取次会社で導入し、書店ごとに近刊銘柄を推奨していくかたちになるでしょう。将来的に、多くの企業で導入されれば安価にできます。
 効率化を進めることで、配本数が減り、縮小均衡になると懸念する方もいますが、適正な配本が具現化すれば、書店スタッフの意識も変わると思います。自店の特性を知る書店員の自主的な注文が増える。イベントと連動したフェアもできる。そう考えたいですね」
■市中在庫情報を出版社と共有 「たなづくり」システム成功事例
―実際、貴社では一部の書店在庫情報を出版社と共有するシステム「たなづくり」などで、書店の売上向上に貢献してきました。くまざわ書店が「地球の歩き方」シリーズなどを対象に、ダイヤモンド社と取り組んで売上げを2桁増にしました。
 「そもそも、当社はインテージに約1000店舗の書店POSデータを提供しています。いま既に書店の納品、販売、返品・在庫など、重要なデータがあるのです。出版社は初版・重版部数を決めるうえで、市中在庫がどのくらいあるのかを把握したいのですが、それができないでいます。それを望む声が実に多いのです。なぜ、開示できないのか。
 『たなづくり』という自動補充システムは、そうしたことを背景に生み出されました。市中在庫は出版社が管理すべきデータです。
 当社ではこれまで、主要出版社の文庫補充に限定して、在庫情報のインフラ化を検討し、総論賛成のもと、数社の出版社と意見交換を始めました。が、各社それぞれの事情から思うように進んでいません。
 ある書店から注文がきても、『送れない書店』がある。そうしたことで複数の出版社と、複数の書店の情報共有は実現しませんでした。出版社と書店を束ねた「n対n構想」はまだ構築しきれていません。
 『1出版社対n書店』も『n出版社対1書店』構想も上手くいきませんでした。
 くまざわ書店とダイヤモンド社は『1社対1社』ということで、話が円滑に進み、売上げが前年同月比20%増の効果が顕著に表れたのです。
 これと同様の成功事例は他にもあります。書店のデータ共有をベースとした機会損失の是正による売上実績アップの事例を出版社・書店の了解の元、発表していきたいと思います。」
―そうしたこともPOSありきの施策だったのですね。
 「はい。倉庫会社も含めたソリューションシステムです。くまざわ書店のように大手でなくても、同じ仕組みで増売に繋げられると思います。これからは自動補充だけでなく、出版社から様々な提案も出てくるでしょう。その時のためにシステムソリューションは不可欠です」


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